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ステーキの焼き方議論という宗教戦争に備える武器(本・調理器具・メディア)を紹介します。異教徒を倒せ!

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料理関係の話題は主婦~学生まで巻き込んでとかく荒れがちですが 、一番荒れる話題ってなんでしょうか? お好み焼きの本場は広島か大阪という問題でしょうか?
こんなのは猫の喧嘩ですね。大阪に決まってるしw

ペペロンチーノの乳化論争でしょうか。それとも炒飯の作り方論争でしょうか。
これらも時として大戦に発展することがありますがやはり「ステーキの焼き方」もとい「肉の火入れ」ほど荒れる題材はないでしょう。
ひとたびブログや動画でステーキ関係の題材を扱おうものなら、すぐに上記のような人達がやってきて、投稿者への罵倒コメントやアドバイス(笑)で画面は埋め尽くされます。

そしてコメント欄でゴールドセイント同士のサウザンドウォーズ(千日戦争)が始まり、精神を病んでしまうものもいるとかいないとか。

素人が料理関係のブログを扱う上で決して避けられない、しかしながら扱えば炎上必至の核のフットボール。それが肉の火入れです。

 

 

肉の火入れは宗教戦争だ

肉の話題はなぜ荒れる?

何故こんなに肉の焼き方の話題は荒れるのでしょうか。
・シンプルな行為である
・であるが、色々な方法がある
が原因かと思われます。

まず一つ目から。料理をする人で肉を焼いたことがない人はいませんよね。人は170万年~20万年前から肉を火で焼いているわけで、肉を焼くということはそれだけシンプルな行為なので議論に参加できる人数が多い
これはペペロンチーノや炒飯も一緒の現象です。
スイカ彫刻で荒れているインターネッツは見たことないですよね。

二つ目。人類が火を使い始めた頃は「ロースト」という加熱法しか使っていませんでしたが、科学の進歩と共に様々な加熱法が生まれてきます。
そのおかげでプロの間でも、素材、目指す仕上がり、設備によって様々な「ステーキ」が存在します。フレンチとステーキ屋とではステーキは全く焼き方が違いますよね。ステーキ屋でもウルフギャングとホテルの鉄板焼きでは焼き方が全然違う。

ですから我々が正しいと信じている「肉の焼き方」も様々な焼き方の一部にしか過ぎないのですが、その知識を金科玉条のように崇めてしまうことによって宗教戦争が勃発してしまうわけです。

何とも悲しいことよ・・・

闘う武器を準備しよう

さてインターネッツでの戦いは知識と写真が全てです。
押し寄せてくる異教徒たちは、まずこちらの知らない言葉でマウンティングを試みてきます。
「メイラード反応」「低温調理」・・・
とかよくコメント欄で飛び交ってますよね。
というわけで、これから異教徒と闘う上で最低限備えておきたい武器を厳選したいと思います。

武器を備えて神罰の代行者となり、異教徒を撲滅しましょう。(違うか

武器

家にある肉の焼き方関係の本は

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なのでこの中から選んでいきたいと思います。
本はいいですよね。並べるだけでなんかすごそうに見える
これだけで異教徒への強力な盾となります。
インターネットのブックマークを並べても「ふーん(鼻ホジ」ですから。
もちろんネット上にも同様の知識は探せば見つかると思いますけどね。

おいしさをつくる「熱」の科学―料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A 武器度★★★

具体的な肉の焼き方が詳しく載っているわけではありませんが、まずは基本的な熱の伝わり方(対流熱、伝導熱、輻射熱)や加熱方法の種類、加熱によって肉に起きる変化などを学びましょう。
炭火の遠赤外線は実は表面数ミリしか届かないとかね。
そういうマウンティングにピッタリの知識が詰まってます。

肉の火入れ -フランス料理のテクニック  武器度★★★★★

本の中でどれか1冊を買うのであれば、絶対にこれをお勧めします。
特に牛肉はめちゃくちゃ力入っています。
まず

レア、ミディアム、ウェルダンと加熱が進むことによって生じる肉の変化について、料理人としての感覚を「熱の科学」の第一人者である佐藤秀美さん(学術博士)が科学の視点からわかりやすく解説しています。

肉の火入れ (株)柴田書店 - 食の総合出版社

先ほど、紹介した本の作者がここでも登場しています。

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肉の火入れ (株)柴田書店 - 食の総合出版社より

こういうビジュアル付で丁寧に説明。
肉の加熱法もグラデーションをつける焼き方、つけない焼き方をきちんと説明。また牛肉の品種によってもどういう焼き方が最適なのかを写真と理論的な説明を添えて解説しています。

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肉の火入れ (株)柴田書店 - 食の総合出版社より

なんでもANOVAで58度に設定して、ガスバーナーで表面炙ればいいと思っている人に(あっ僕の事です)早く読んでほしい本。

とりあえずこれ一冊読み込めばたいていの雑魚敵なら一蹴できること間違いなし。

 

プロのための肉料理専門書 (別冊専門料理) 武器度★★★★

前半は肉料理(牛、豚、仔羊、鶏、鴨)のレシピ170品を収録、
後半は知識編となり国産肉・輸入肉の最新動向、各品種の説明、「肉の部位とさばき方 哺乳類・牛編、鳥類・鶏編」、「国別・部位の分け方と部位名 牛編・豚編・仔羊編」、ドライエイジングの特集などがあります。

もちろん焼き方にも言及しているコーナーがありまして、経験豊富な4人の料理人による6通りの焼き方(炭火、オーブン、サラマンドル、スチームコンベクション+サラマンドル、炭火、蒸し焼き)を紹介しています
焼き方だけだけはなく、肉について全方位的に戦いたい人はこちらもどうぞ。陣形でいうと方円のような本です(分かりにくい)

月刊専門料理2016年9月号もしくは2015年9月号 ★★★

月間専門料理は毎年肉の焼き方について言及している月があります。
2016年9月号のタイトルは「肉の火入れの新機軸」

薪、フライパン、圧力鍋で煮る、炭火で焼く、ウォーターバスと5種類の火入れの方法があります。

2015年9月号のタイトルは 「解決 肉料理の悩みと疑問 肉の火入れを極める」

炭火、鋳鉄のフライパン、スチコンで焼く、プランチャで焼く、圧力鍋で煮る、グリラー・サラマンドルと6種類の火入れの方法があります。
前述の「肉の火入れ」は確かにいい本なんですが牛肉に関してはフライパン+オーブンという調理法がほとんどなので、他の火入れ方法について学びたい人はどちらか買うことをおすすめします。
ただ前述の肉料理専門書を読めば、だいたいカバーしてるかな?
よっぽど特定の調理法が気にならないのであれば、スルーも可。もしくは2017年度でそのうち特集するだろうからそれまで待ってもOK。

Modernist Cuisine at Home 武器度 unkown!!

元マイクロソフト最高技術責任者であるネイサン・ミアボルが出版した分子料理の教科書的な本「Modernist Cuisine: The Art and Science of Cooking」(625ドル)の家庭版。
ちなみに彼、数学科学士、地球物理学修士、宇宙物理学修士、数理経済学修士、理論物理学Ph.Dの5つの学位持ちとな!ちな僕は学位0です
家庭版といえども真空調理(低温調理)の教科書としては十分すぎるほどの情報量です。ほぼ無敵モードになります。
もちろんステーキの項目もありますよ。
難点:高い!英語!(けどわかりやすいよ)
これは番外編なので興味がある人だけどうぞ

本まとめ

どれも良書なので正直どれか一冊でもネット上の戦争には十分耐える事が可能です。

万一、異教徒達がマウンティングを試みてきても
「まあそういうアプローチの方法もあるよね」と涼しい顔で受け流すことができます。

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必要なのはこの現代においても色んな焼き方があるということです。
さて攻撃に移りましょう。調理器具編です。

調理器具

いくら本を読んでも頭でっかちになるだけなので、実践しないことには始まりません。
まあグリルパンとか鉄のフライパンは買いたい人が買えばいいので、どうしても避けられないものを上げていきます。

コンベクションオーブン 武器度 ★★★

オーブンはまあいるよね・・・真空調理一本で行くなら別ですけど。
もちろんオーブンなんてみんな持ってると思うので、わざわざ買いなおす必要はないと思いますが。持っていない人はコンベクションオーブンを買ってもいいですし、上位モデルのオーブンレンジは大抵コンベンクションタイプだと思います。できれば加熱水蒸気が使えたりスチームの温度も設定できるものがお勧め。

自分は東芝の石窯オーブンを使ってます。上記の機能を満たしているのですが、今から東芝を購入するのはちょっと勇気要りますよねw

恒温調理器 武器度★★★★★

肉の火入れを語る上でもはや低温調理は避けられないものとなっています。

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Modernist Cuisine | Modernist Cuisine volume2より

左の肉がフライパンで調理したもの、右が低温調理で調理したものです。どちらの肉も中心温度が52度になるまで加熱していますが、左は焼きすぎて肉汁が流出してしまっている部分が40%もあります。

左のような料理をUPしてみたら異教徒がこれ幸いと襲い掛かってくること間違いなしですよね?

低温調理に必要な器具が恒温器です。そして猫も杓子もANOVA、ANOVA言ってるので正直今更かよと思われるかもしれませんが・・・これだけは言わしてください。
僕はKickstarterのクラウドファンディングで買ってるから!
そんじょそこらのANOVA使いと一緒にしないでいただきたい。(眼鏡クィ

とまあそれだけANOVAは革命だったわけです。それまでは日本で低温調理をしようとするとクソ高いユラボの恒温調理器か理化学研究所の恒温槽しか選択肢がなかったわけです、もしくは業務用のスチコン。
僕も泣く泣くストゥブに熱湯いれて温度図りながら15分おきに温度調整してました
それがその当時確か130ドルくらいでしたからね。しかPID制御かつ撹拌機能付き。家庭用の鍋をそのまま流用可で。詳しくは以下の記事で

magazine.shokuikuclub.jp


というわけで戦争のためには必須の武器となりますので諦めて買ってください。

海外ではスマホとの連携がbluetoothのみのファーストモデルが129ドル。bluetoothとwifiのモデルが179ドル。上記のモデルはwifiもついているモデルで22800円。好きなところから買ってくださいw。

2017年6月15日追記 ANOVAの新型nanoの予約が始まったので初心者はそちらをおすすめします。詳しくはこちら


最近では「Joule」というやや小型の恒温調理器も出ているみたいです。

低温調理デバイス「Joule」をアメリカのアマゾンで購入。まずは鶏胸肉を中はジューシー、外はカリカリに仕上げてみた | 食育通信 online

こちらもアメリカamazonから購入可能。

もっと小さくておしゃれなのは「Sansaire Delta」
ただまだクラウドファンディングの段階であり(2017年8月リリース予定)温度制御の機能や撹拌機能については調べきれてません。人柱求むw

Sansaire Delta | Sansaire

繰り返しになりますが、これは宗教戦争には必須です。
真空パックにわざわざしなくても、まずはジップロックの簡易脱気で十分。
もっとハマったら真空パックする機械を買ってください。

ガスバーナー(ガストーチ) 武器度★★★★

肉のSearing(表面に焦げ目をつけること)の方法には、ガスバーナー、ディープフライ(大量の油で揚げる)、フライパン、グリルなどがありますが、最速の方法はガスバーナーです(Modernist Cuisine at Home P193)。最速であればあるほど中に火を通さず表面を焦がすことができます。

ANOVAを使うことに満足してしまいSearingが適当でなんだか湿ったまずそうなステーキ、Searingを中途半端な温度で適当にしてしまいovercookingになっているステーキ。ネットで「ANOVA ステーキ」と検索したら山のように出てくるとか来ないとか。
もちろんティープフライや超高温のフライパンもありだとは思うのですが、一人暮らしだと大量の油で揚げるのも難しいし、テフロンを限界まで熱するのは怖いし・・・。
てなわけでこちらも恒温器とほぼセットになります。

高い温度を出せるもの(専用ガス)だとこちら1700度までだせます。

カセットガスでも使えるものだとこちら(最高温度1500度)

ラギオール(ライオール)ナイフ 武器度★★

ある程度の価格の店でステーキを食べる時に必ず出て来るのがこのラギオールナイフです。完全に自己満足ですが、やはり自宅にこれがあるだけでステーキが上手に焼けそうな印象をあたえることができます。

ラギオールナイフでマウンティングされないように最低限

・取っ手の上の部分の昆虫は”蠅”もしくは“蜂”であること
・ラギオールナイフの訴訟の話(どこでつくってもラギオールナイフと名乗れる事)

ワインやチーズなどのような原産地名統制制度(AOC)もなく、法的にはフランスの裁判で“ラギオール”という名称はナイフのなかの1つの種類の一般名詞であるという判決を下したため、ブランド名としては商標登録ができない。したがって、例えば”本物・ニセモノのシャネルのバッグ”とは言うことはできても、”本物/ニセモノのラギオールのナイフ”とは言うことができない。ラギオールナイフを選ぶ時には本物かニセモノかという基準ではなく、ナイフとしての質自体を見極めることが大切なのにはそういう背景がある。

シャトーラギオール 「選ばれしプロフェッショナルの象徴」より

各ブランド間の争い

くらいは抑えておきましょう。
購入ブランドとしては
フォルジュドライヨールシャトーラギオールとラギオール・アン・オブラック

のどれかを買ってればいいと思います。
ラギオール・アン・オブラックは日本の三つ星レストランとかで見たことありますね。本国フランスでもいい値段していました。


ちな僕はフォルジュドライヨールのを5本持っています。

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かっこいいっしょ?
ちな1本しか使ったこと無いけどね!!

調理器具まとめ

前述の通り恒温器とガスバーナーはほぼ必須といえます。
これさえ使えば、料理をはじめた大学生でもステーキをそれなりのレベルで焼けます。

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ほらね?それっぽいでしょ?

もちろん低温調理器のみが正義ではありませんので、フライパンとオーブンで火入れを極めてから、恒温調理器を試すのも全然ありです。

メディア

ここでは主に世界のステーキを扱っている動画を紹介していきます。おまけコーナーですね。

日本のステーキ事情ではなく各国のステーキ事情を知ることによって、「海外では日本と違って赤身が~」攻撃に耐えることできます。

ステーキレボリューション 武器度★

世界中のステーキでベスト10を決めるというスーパー乱暴なドキュメンタリー映画。パリで最高の精肉店(2003年には「レクスプレス」誌が主催した目隠しコンテストで、125人の精肉店の中から「パリで最高の精肉店」に選ばれた)のオーナーが案内となり世界中を駆け巡ります。
2年間で20カ国、200を超える有名・無名のステーキハウスを食べ歩いた結果をとくとご覧ください。


日本人が作ったものではないので、日本人とは別の視点や着眼点を見ることができます。
注意点としては予告編は食べるシーンばっかりですが、実はドキュメンタリー映画なので本当に肉が好きじゃないと眠くなりますw
amazonの評価も低めw

それにしてもamazon評価1の「レンタル期限が切れて見れなかった」はひどくないか?w

「ステーキ世界一の旅」 武器度★

佐々木蔵之介が、テキサス、パリ、フィレンツェとこれまた世界一美味しいステーキを追い求めて飛び回る番組。

www.nhk.or.jp

やっぱり、日本の番組のほうが日本人には馴染むよね(手のひらくる~
今はU-NEXTで見れるみたい。

 

総まとめ

以上宗教戦争に備える武器を列挙してみました。
もちろん武器を揃えていくうちに家庭で出来る範囲内で、各自自分なりの答えに行き着くことでしょう。
僕も自分なりのベストと思う焼き方を持っています。
重要なことは肉の焼き方には色々な方法があることを知り、それを体験することによって
一本の槍で突っ込んでくる異教徒を優しく受け流し・・・撃破する!!

以上です。おつきあいありがとうございました。

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