こんにちは現代の百蘭王を目指すニャック。漆原ニャックです。
みなさんカルボナーラ好きですよね?嫌いかならそっ閉じしてください。
カルボナーラの魅力ってなんでしょうかね。
パスタ・卵・チーズ・豚肉±生クリームという少ない材料、簡単な手順にもかかわらず濃厚な味で簡単にレストランの味を楽しめるところだと思います。
ただ同時に心を痛めているのがカルボナーラの話題になると必ず登場するカルボナーラマスターたちによる「生クリーム入れる・入れない」という論争。あと「本場では~」みたいな論争ね。
そこで今回は日本とイタリアでのカルボナーラの作り方を集めれるだけ集めてみて、解析してみることにしました。
基本的事項
卵は重量の記載がない場合はM玉として黄身18g、白身36gとして計算しています。
チーズは1cc=0.4g、生クリームは1cc=1gです。
チーズ、卵、生クリーム、肉類を「適量」とかいうレシピは全部削除。
胡椒はあまりに適量が多く平均取れませんでした。一人当たり1~5gくらい。
めんどくさいのでグラフの単位は端折ってます。横軸はグラム、縦軸は人数ですね。
日本のプロのレシピ
集め方
何をもってプロのレシピとするか難しいですが、料理人・料理研究家の名前が掲載されているもの、レストランのシェフのブログに掲載されていたもの、テレビ番組で紹介されているレシピ(プロの監修が入っていると推測して)をプロのレシピとしました。
集める方法は
・プロのレシピのみを検索するQuugleで検索、ひたすら上から集めていく。
そのうち、個人のブログのレシピしかでなくなってきたので
・KindleUnlimitedとか手持ちの本とか本屋でひたすらレシピを集める。
まあこういう感じで集めていきます
グーグルスプレッドから職場の統計ソフト(JMP)に叩きこみました。
珍しく僕が残業していると思った社畜の皆さん。
カルボナーラのレシピをいじっていたとは夢にも思うまい
当然残業代は付けといたからな!
今回はエクセルで十分出せる内容だと思うのですが、JMPでしかこういうの扱ったことないので・・・へへ統計とかワシよくわからんのです。
まずここから牛乳とかバターを使っているレシピを6例除外します。今回はあくまでもパスタソースが、卵・チーズ・(生クリーム)のみで構成されているものを対象とします。幸い数例のみで済みました。これで20例とか除外対象になれば、牛乳やバターの有無も論争に加えなければなりませんからね。
パスタの重量を100gにそろえる
作り方によってパスタの重量が様々ですので、パスタの重量を100gにそろえます。
実際のレシピに落とし込むときは調整が効きにくい卵黄をベースに最終調整しますけどね。
さてまず全体の把握から行きましょう。
肉の種類と重量
ごらんのとおりパンチェッタを使うレシピが多いです。
これは推測ですがベーコンではプロとして物足りない。
しかし何らかの媒体に載せるレシピですから、グアンチャーレは手に入りにくくレシピとしての作りやすさを損なう。
パンチェッタはその点スーパーなら5割、オシャレスーパーや百貨店ならほぼ手に入ります。そういった妥協の結果がパンチェッタだと思われます。
ソースの構成成分
まずヒストグラムで卵黄・卵白・チーズ・生クリームの重量の分布と中央値を見てみましょう。
こういう具合ですね。
日本人プロの一般的なカルボナーラ
全ての中央値を並べるとカルボナーラの構成成分は以下の通りです。
パスタ:100g
卵黄:22.5g
卵白:36g
チーズ:12.8g
生クリーム:16.9g
これを作りやすく補正すると
レシピ1(日本のプロ)
パスタ:80g
卵黄:1個(18g)
卵白:29g
チーズ:大さじ1杯+小さじ2杯=25cc≒10.2g
(ペコリーノロマーノ:小さじ1杯=5cc=2g、パルミジャーノ:大さじ1杯+小さじ1杯=20cc=8g、全てパルミジャーノでも可)
生クリーム:13.5g=13.5cc≒大さじ一杯(15cc)より気持ち少なめ
パンチェッタ:27g
胡椒:適量
こうなります。これがまず日本でのプロの平均的なカルボナーラです。
みなさんメモってください。
生クリーム使う?使わない?
さて先程のヒストグラムを見ているとあることに気づきます。生クリームと卵白はある一定数「0値」があるんですね。
まあ卵白は置いといて、生クリームは使う使わない論争が盛んなので決着をつけておきましょう。
ほぼ50:50なので・・・味の好みですわい
というわけでプロは生クリーム使う、使わない論争は停戦!停戦です。
あ、「本場では~」論争残ってます?後述するから落ち着いてください。
生クリームを使うレシピの一般的なカルボナーラ
せっかくなので生クリームを使うレシピのみを抜き出してみましょう。
ソースの構成成分はこちらになります。卵白のみ平均値なのは0値が多いため、中央値が0になってしまうから(妥協)。
パスタ:100g
卵黄:22.5g
卵白:20.2g
チーズ:11.1g
生クリーム:31.3g
卵白を使いたくない人は抜いてください。これを作りやすく補正します。
レシピ2(日本のプロ・生クリームあり)
パスタ:80g
卵黄:1個(18g)
卵白:16g
チーズ:大さじ1杯+小さじ1.5杯+=22.5cc≒9g
(ペコリーノロマーノ:小さじ1杯=5cc=2g、パルミジャーノ:大さじ1杯+小さじ0.5杯=17.5cc=6.8g、全てパルミジャーノでも可)
生クリーム:31.3g=31.3cc≒ほぼ大さじ2杯
パンチェッタ:27g
胡椒:適量
こちらが生クリームありの一般的なレシピです。
生クリームを使わないレシピの一般的なカルボナーラ
生クリームを使うなんてカルボナーラじゃない!と怒れる皆さんのために生クリームを使わないレシピのみでを取りました。
ソースの構成成分は上記なので
パスタ:100g
卵黄:25g
卵白:32.4g
チーズ:15g
これを作りやすく補正します。
レシピ3(日本のプロ・生クリームなし)
パスタ:70g≒72g
卵黄:1個(18g)
卵白:23g
チーズ:大さじ1杯+小さじ2.5杯=27.5cc≒10.8g
(ペコリーノロマーノ:小さじ1杯=5cc=2g、パルミジャーノ:大さじ1杯+小さじ1.5杯=22.5cc=9g、全てパルミジャーノでも可)
パンチェッタ:23g
胡椒:適量
こちらが生クリームを使わないレシピ。
生クリーム使うレシピと使わないレシピの差
では生クリームの有無によって他の材料の量は左右されるのでしょうか?
結果から言いますと、チーズの量のみが有意差(p<0.05)がついています。
つまり生クリーム使用レシピはチーズの量が少ない。
生クリームレシピは使わないレシピよりまろやかになります。
チーズを全面に押し出していないカルボナーラが好きな人、牛を飼っているので生クリームが余ってしょうがない人、もしくは大事なチーズを少しづつ使いたい人?は生クリーム入りを選べばいいでしょう。
イタリアのプロのレシピ
集め方
最初はイタリア版Googleやyoutubeで「carbonara ricetta」で検索してました。
しかし検索していくにつれて、本当にプロのレシピなのか、日本でいうところのクックパッドや個人ブログをヒットしているのか分からなくなってきたので・・・
金で解決や!!
ランサーズでイタリア在住の日本人に50例集めてもらった。12000円。
なんか高く付いたわ・・・100例くらい集めれてもらえばよかた。
同様にパスタの重量を100gに揃えます。
エクストラなもの
基本のソース以外に使われているものとしてどのような物があるのでしょうか?
55例中
にんにく4例、白ワイン2例、コニャック1例
粉末リコリス1例、バター1例が
エクストラなものを加えているレシピとなります。
本場で使われているパスタの種類
僕は今まで、本場イタリアではフィットチーネとかタリアレッテのような平打パスタが多く使われていると思ってたんですよ。
なんとなくイメージで。
でも実際調べてみると、だいたいがスパゲッティ、スパゲットーニとかの断面が円形のロングパスタなんですよね。もしくはショートパスタ。
実際に本場ローマの「カルボナーラの名店~選」に選ばれる店のも断面が円形のものがほとんどです。
もちろん検索したらフィットチーネを使ったレシピも引っかかるので、母数を増やせば、平たいロングパスタの割合が増えるかもしれませんが、やはり本場でもメインはスパゲッティーニで良さそうです。
肉の種類
これはもう議論の余地がありません。
本場はグアンチャーレ一択です。あとは変形でラルドとか生ハムとか。
日本でグアンチャーレを手に入れようとしても小分けはスライスしか売ってないんですよね。よってカルボナーラにグアンチャーレを使う場合はどうしても500g単位のブロックを買わなければなりません。
けどパンチェッタより脂のうまみが強い気がする。
本場のカルボナーラは生クリーム使わない話
これもグラフがすべて物語ってます。
本場は使いません。僕も「本場では~(ドヤァ」みたいな出羽の神が嫌いなので、「実は本場でも生クリーム使うんですよ~~」みたいなこと書きたかったんですけど使わないものは使わない。
ソースの構成成分
というわけで生クリームを外して、同様にヒストグラムにするとこんな感じです。
ごらんのとおりイタリアでも卵白使う人います。以前記事にしたレシピでも使っています。
ということで「本場では卵黄のみで~」みたいなのはありません。
イタリア人プロの一般的なカルボナーラレシピ
こちらが平均されたレシピになります。
パスタ:100g
卵黄:19.5g
卵白:22.5g
チーズ:29.2g
パンチェッタ:46.3g
これを作りやすく数値をそろえると…
レシピ(本場のプロ)
パスタ:90g≒92.3g
卵黄:1個(18g)
卵白:21g
チーズ:大さじ4杯+小さじ1.5杯=67.5cc≒27g
(ペコリーノロマーノ:大さじ3杯+小さじ2杯=22g、パルミジャーノ:小さじ2.5杯=5g)
グアンチャーレ:42g
胡椒:適量
こうなります。これが本場の味ですね。
イタリアと日本のカルボナーラの違い
生クリームの有無と肉の種類
これは繰り返しになりますので割愛。
使われているチーズの種類
実はこれも違います。全レシピを合計した重量比で表すと以下の通りになります。
ごらんのとおり日本ではパルミジャーノの占める割合が多いのですが、海外ではペコリーノ・ロマーノが多くなっています。前述の一般的なレシピも上記に従い
日本はペコリーノ1:パルミジャーノ4に、イタリアはペコリーノ4.5:パルミジャーノ1
にしました。
ただし、個人的意見ですが日本のレシピはそもそものチーズの量が少なくペコリーノは2gとかなんで、神の舌じゃない限り全部パルミジャーノでもいいでしょう。
イタリアのレシピはチーズが多いので分量守ってください。
チーズの割合が生む味の差
ペコリーノロマーノ(羊乳)とパルミジャーノ(牛乳)を齧ってもらうと分かるのですが、前者は塩気が強く、後者はうま味が強いです。グランペコリーノやペコリーノフォッサは中間かな?
なので、同じチーズの量でもイタリアはより塩気が強いソースとなります。
ソースの構成成分の差
本場では生クリームを使いませんので、日本の生クリームを使用しないレシピとイタリアを比較します。
結果すべてに有意差がつきました。
チーズの量:イタリア>日本生クリームなし
卵黄の量:イタリア<日本生クリームなし
卵白の量:イタリア<日本生クリームなし
イタリアのソースはチーズの量が多く、卵液の量が少ないんですね。
チーズの構成成分も前述のとおりイタリアと日本では異なっているので、全てを総合すると
イタリアレシピ→日本の生クリームなし(チーズ少なく、卵液多い)→日本の生クリームあり(さらにチーズ少なく、生クリーム加わる)
の順番でソースがより塩気が少なくマイルドになっていくと推測できます。
なぜこのような傾向にあるかというと実際作ってみるとわかるのですが、イタリアのレシピはめちゃくちゃチーズと塩気が強いんですよね。
なので、日本人の舌に合わせて作ろうとすればどうしても、チーズの量を抑えたり、生クリームを加えたりせざるを得なくなるということでしょう。
もう一つの原因として考えられることは、日本で気軽に手に入るチーズの品質にあるのではないでしょうか?最近でこそ普通のスーパーでもチーズのブロックが手に入りますが、少し前では家庭で使うカルボナーラ用のチーズと言えば、ほぼクラフトの粉チーズ一択でしたよね。
粉チーズはチーズを直接味わうようなレシピには向いておらず、生クリームなどを加えてチーズの品質の関与する割合を減らす必要があったのではと思います。
やっぱりパスタは本場だぜ~~みたいな人はイタリアのレシピ。
マイルドな生クリームの味わいが好きな人、家が酪農家で生クリームが余っている人、チーズを削るのがめんどくせー人は日本の生クリームありのレシピにすれば良いのではないでしょうか?
実際に作ってみよう
上記の作りやすくしたレシピを実際に作ってみましょう。
写真に1.日本人プロ、2.日本人生クリームあり、3.日本人生クリームなし、4.イタリア人プロと番号を振っていきます。
レシピ以外の部分
パスタの太さ
実は調べれるだけ調べてたんですが、日本は1.6~2.0mmが多いので、ヴォイエロのスパゲッティ(1.9mm)を使用。
イタリアはもう少し太いものが多いので、マンチーニのスパゲッティ(2.2mm)にします。ちなみにどちらもブロンズダイスです。
ソースとパスタの合わせ方
ボウルに入れてパスタをゆでたお湯の上で温める方式が熱のコントロールがしやすいので統一します。
フライパンのほうがカッコいいですか?大丈夫。本場の超一流プロもボウルを使っています。
パスタのお湯の塩分濃度
日本のレシピは1%、イタリアのレシピは1.5%にします。
濃度の違いについての考察はこちらの途中の記事を参考にしてください。
材料
並べただけ、グアンチャーレもそろそろ使い切りそう。
お湯沸かし始めると同時に準備。
肉炒めます
テフロン加工の方がメイラード反応がそのまま肉に残るのでテフロン加工で炒めていきます。(イタリアのトッププロの作り方)
グアンチャーレは脂が出るので脂を別皿に移しながら(後で使います)
はい、こんな感じ。
もしテフロン加工のフライパンがない場合は、茹で汁をごく少量加えてフライパンサイドのメイラード反応をゆで汁に移しましょう。
ソースを準備します
はい、一見あんまり変わらないようですが。かき混ぜると
色も粘度も全然違う。
皿を温める
パスタ茹で上がる前くらいから皿を温める。
レンチンの「あたため」が楽、なければ1分くらい。
茹でたパスタをあわせる
茹でたパスタをボウルに入れて、肉も載せる。
テフロン加工でないフライパンを使って肉を炒めた場合は、前述のようにゆで汁を加えたフライパンにいったんパスタをうつして軽く絡めてもいいです。好み。
グアンチャーレの場合(4)は取り分けていた脂を小さじ一杯分加える。
後はパスタの茹でた後のお湯に、ボウルの底をつけて狙った粘度の一歩前までかき混ぜる。イタリアレシピは追加の茹で汁いるかも。ほかはいらない。
盛り付け
あとは盛り付けて胡椒をかける。
出来上がり。
おいしいレシピは?
やっぱりイタリア版は日本人からしたらカルボナーラというよりチーズパスタという感じになります。2はやや生クリーム多くてチーズあまり感じない。
1の「日本のプロの標準」と3の「日本のプロ生クリーム無し」が自分的にはちょうどよく感じました。
まとめ
イタリアと日本のレシピを集めて統計を取ってみました。
まずは1と3のレシピから作ってみて好みを決めて、続いて2か4を作ってみてください。
長くて覚えきれない?ブクマしとけば大丈夫!
個別レシピ編
日本のトッププロの作り方
超一流プロが教える正しいカルボナーラの黄金比レシピを試す。準備編
超一流プロが教える正しいカルボナーラの黄金比レシピを試す。調理編
イタリアのトッププロの作り方
本場ローマでキングオブカルボナーラと呼ばれるシェフのレシピを試す。準備編
本場ローマでキングオブカルボナーラと呼ばれるシェフのレシピを試す。調理編
ガンベロ・ロッソでローマのカルボナーラ1位常連店の作り方を試す。レシピ集め編
ガンベロ・ロッソでローマのカルボナーラ1位常連店のレシピを試す。調理編
簡単に作りたい方
カルボナーラはどこまで時短で簡単に作ることが可能か考察してみる。 - lifecooking
その他の論争編
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